対症療法の繰り返しから「予防保全」へ
2026年9月定例会において、市政に関する一般質問を行いました。今回のテーマは、市民生活の基盤であり、将来の財政に直結する「市が管理する道路の維持管理」です。
上田市が管理する道路の総延長は約1,850km(青森から鹿児島までの陸路に匹敵)に達します。限られた財源と人員の中で、壊れた箇所を場当たり的に修繕する「対症療法」を続けていては、いずれインフラの維持は破綻します。
将来世代への過度な負担を防ぎ、公平で持続可能な管理体制を築くため、3つのテーマに沿って現状を検証し、具体的な改善策を提言しました。
1.市道等の舗装補修要望──なぜ見送られるかの可視化を要求
毎年、上田市内241の自治会からさまざまな要望が市へ寄せられています。しかし、自分が自治会の役員を務めてきた現場では、「何度要望を出しても通らない」「採択の基準が見えない」という徒労感や不透明感が長年課題となっていました。
直近3年度の市道舗装補修要望では約6割が見送られている厳しい財政状況の中、私は市に対し、限られた予算を公平に配分するため、点数化など属人性を排した客観的な判断基準の導入と、判断プロセスの可視化を提言しました。
さらに、修繕の先送りが損傷の拡大や資材高騰を招き、将来の財政負担を押し上げるリスクを指摘し、要望の継続年数を優先順位の重要要素として明確に位置づけることを求めました。
市の答弁と成果
判断基準の見える化を研究 市側は、現場環境や損傷形態が異なるため点数のみでは把握しきれないとしつつも、回答判断の客観性や透明性の向上に向け、評価項目の整理や判断過程の見える化など、より分かりやすい評価方法について研究していくと答弁しました。
将来負担の増額リスクを承認 対応見送りによる損傷進行や資材・労務費の上昇により、将来の工事費が増加する可能性を認めました。
要望継続年数も優先順位の一要素へ 同一箇所への継続要望は地域課題の未解消を示すとし、要望の継続年数も優先順位の判断に考慮すべき要素の一つとするとの言質を得ました。
2.道路の将来展望──旧道移管に伴う負担抑制と土木DXの推進
バイパス整備等に伴い国や県から市へ道路が移管されると、道路延長が増加し、将来にわたる補修・点検・除雪コストが市にのしかかります。また、管理が行き届かない道路が増えれば、事故による損害賠償リスクも高まります。
実態調査として、直近の市道移管実績(国道254号平井バイパス:1,716.4m)、および道路の穴や段差等の管理瑕疵に起因する事故賠償事例として直近3年度で33件、賠償総額813万円余といった事実を明らかにしました。
これを踏まえ、将来世代の負担を抑えるための旧道移管受入れ基準の策定、耐久性の高い舗装工法の導入による予防保全型管理への転換、道路の面積データや3次元点群データを整備し、積算や業者連携を効率化する土木DXの推進を提言しました。
市の答弁と成果
移管前の修繕徹底と引継ぎ管理 必要な修繕等は原則として移管前に県等へ実施を依頼し、関係課、自治会との協議事項を確実に記録、引継ぎを行うことで、想定外の財政負担を防止する方針を確認しました。
状態監視に基づく予防保全への転換 応急処置の繰り返しを避け、路面性状調査等の状態監視に基づき、各路線の条件に適した材料や工法を採用してライフサイクルコストの縮減に努める姿勢を明言しました。
機能喪失道路(法定外公共物)の処分推進 利用実態がなく管理責任リスクを伴う法定外公共物について、意向確認の上で用途廃止や払下げなど適切な財産管理を進める方針を示しました。
3.道路の雑草対策──都市の美観と交通の安全を損なう雑草の駆除と予防
近年の地球温暖化により雑草の生育速度は著しく速まり、草丈も高くなっています。観光都市としての景観を損なうだけでなく、交差点やカーブでの死角発生は重大な交通安全上のリスクです。
現在、市の業務委託による年1〜2回の除草に加え、自治会や地域住民の献身的なボランティア活動も展開されていますが、まったく追いついていません。地域の高齢化と担い手不足が進む中、善意への依存も限界を迎えています。
路肩に溜まった砂利や土砂が雑草の温床となっている構造にも着目し、繁茂した草を刈り続ける対症療法から、道路の新設、改良、舗装打ち替え等の初期工事段階において、物理的に雑草の発生を抑制する工法を取り入れる予防保全(防草対策の標準化)への抜本的転換を提言しました。
市の答弁と成果
気候変動と地域負担の課題認識 気温上昇等による雑草生育の長期化、安全上の死角発生、除草委託費、職員負担の増加、および地域の担い手不足を市は明確に認識しました。
標準的な防草工法の採用検討 事後的な除草の繰り返しだけでなく、建設段階から維持管理しやすい構造を取り入れる重要性を認め、「本市の道路条件に適した標準的な防草工法の採用について検討していく」と前向きな方針を確認しました。
市の管理責任の再確認 市道の維持管理責任は道路管理者である市にあることを基本とし、地域に過度な負担が生じないよう配慮しながら、計画的な除草と予防的対策を組み合わせる方針を示しました。
結びにかえて──対症療法を排し、根本治療の仕組みをつくる
今回の一般質問で貫いたのは、場当たり的な対症療法を排し、設計や制度の根本原因に手を入れる「根本治療への転換」という視点です。
基準を可視化して市民の納得感を高めること、将来の維持管理コストを未然に防ぐこと、そして地域住民や自治会役員の皆様の過度な負担を軽減すること。今回、市側が答弁した「判断基準の見える化研究」や「標準防草工法の検討」が単なる答弁にとどまらず、実際の運用・実務へ確実に反映されるよう、今後も粘り強く進捗を注視し、政策提言を続けてまいります。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
塩入友広 TEL 090-3558-5540
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