ヒューマンエラーと人手不足は技術で解決できる

公民館から「30トン」の水が消えました
塩入友広 2026.01.10
誰でも

衝撃の年明け第一報

私は自治会の会計を担当しています。 電気の契約アンペア数を見直したり、基本料金のかかるガスを一時的に中断したりと、実は見えないところでこまごまとした節約も実践しています。

そんな私が年明け早々、公民館の会計さんから受けた水道の検針に関する報告に衝撃を受けました。 「そういえば検針員さんが歩いて回っていたなぁ、寒い中大変だなぁ」と思っていた矢先のことでした。

いつもは使用量「0」、つまり基本料金だけ支払っている公民館(分室)で、今回は30立方メートルも回っていたとのこと。 メーターの回転は止まっており、漏水の可能性は低いとのことですが、それでも30立方メートル(30トン!)という量は、一般的な4人家族が生活する約1ヶ月分の水量に相当します。 これだけの水量が、知らぬ間に流れていたことになります。

原因は恐らく、冬場特有の「不凍栓(水抜き栓)」の操作ミスか、蛇口の閉め忘れによるものでしょう。 過去にも冬に同様のことがあったそうです。

アナログ管理が招くリスク

ヒューマンエラーは誰にでもあります。私がここで問題だと感じたのは、30トンの水が流れ切るまで、誰も気づけなかったという仕組みの方です。

現在の上田市では、検針員さんが2ヶ月に1回、一軒一軒歩いてメーターを見に来てくれます。 逆に言えば、最大2ヶ月間は、異常があっても誰も気づかないのです。

海外にはすでに解決策があった

イギリスに駐在していた当時、仕事先の工場では水道メーターの部品(ケース)を製造していました。 それはフランス製のメーターだったのですが、すでに無線発信機が内蔵されており、検針員が敷地に入らなくても、離れた場所からデータを読み取れる仕組みになっていました。 「さすが先進国は違うなぁ」と強烈に印象に残っています。

地中には発信機を備えた計量器

地中には発信機を備えた計量器

ヨーロッパでは15年以上も前から、こうした「スマートメーター」の普及が始まっていたのです。当時より電源や無線通信が格段に進歩した今では、リアルタイムの状況監視も可能になっています。

いま公民館にスマートメーターが付いていたら、「深夜になってもメーターが回り続けている」というデータが即座に飛び、翌日には「水漏れしていませんか?」と利用者へ連絡を入れることもできたはずです。 30トンもの水を、みすみす捨てることもなかったでしょう。

テクノロジーで水道を守るために

寒い中を一軒一軒ご苦労さまです

寒い中を一軒一軒ご苦労さまです

私がイギリスで「過去のもの」として見てきた人力検針が、令和の上田市ではまだ「現役」です。 雨の日も雪の日も歩いて回る検針員さんには感謝しかありませんが、人口減少が進む中、いつまでも人に頼るこのやり方が持続可能だとは思えません。

大切な資源である水と、私たちが支払う水道料金を守るために、根性論ではないテクノロジーの導入が必要です。

そして、こうした最新技術への投資を行う体力をつけるためにこそ、今議論されている「水道の広域化」という視点が重要になってきます。

次回は、この「水道の広域化」について、エンジニアの視点からもう少し掘り下げてお話ししたいと思います。

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